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■ Mebius Link Crossroad -天動説-
1971 / 11 / 23 ( Tue )
以下、連載中の「メビウス リング クロスロード」のパチモノです。
これ単独でも読めるようにはしてますが、
ビミョーにリンクした(しかも本編にまだ出してない)コネタが出てきます。スルーして貰えれば幸いです。

「メビウス リング クロスロード」との分岐点として、
エドがヒューズさんと遭遇した後にずぶぬれで迷い猫の如くハイデの家に転がりこんだり
クリスマスにはグリューワインで悪酔いした後、年明けまで延々貪りあってたり、
エドが鎧アルと再会して鎧の頭だけお持ち帰りした夜にキレたハイデにいいようにされちゃったり
そんな流れの場合の完結編みたいなカンジです。 
ハイエド的にはそんなハードな紆余曲折を経た方がハッピーエンドだと言う笑える展開に
書いた本人が一番びっくりしております。





________________________________________________________________


Mebius Link Crossroad -天動説-





医者からその話を聞き、アルフォンスの病室へと戻ってきたものの、扉の前で足が止まる。
さて、アルフォンスにどう伝えたものか。
早く言った良い。 


※  ※  ※


銃弾に倒れたアルフォンスは一命を取り留めた。
だが、死の淵に片足を突っ込んだ者が戻ってきたところで、
それは、死者が蘇ったワケではない、再生でもない、ましてや新生ではない。
アルフォンスを蝕む病巣はあいつの身体に巣食ったままだった。

病室で意識を取り戻したアルフォンスがオレを見とがめて放った第一声は

「バカ」

だった。

「バカ バカ バカ バカ? ほんとに、どうしようもないバカですねぇ エドワードさんは」

ベットに深く身体をあずけたまま、言葉を発するごとに響く苦痛に耐えながら、半ば諦め顔で言われた。
そりゃ、そうだろう、せっかくアルフォンスがオレを送り出しくれたのに、ノコノコと戻ってきたのだ。
だから、オレも甘んじて受けていた。


あのまま、アルフォンスが死んでしまっていたら伝える事が出来ないとオレを心底ゾッとさせた、謝罪と感謝の言葉も、
アルフォンスが目を覚ましたら真っ先に伝えようとずっと考えていた言葉も、
アルフォンスが目覚めるのを待っている間に、
アルフォンスがオレを向こうの世界に帰す事で自身が生きた証を残そうとしたしたのだと思い至ったら言えなくなってしまった。

結局、オレはアルフォンスの好意も、アルフォンスの存在も、無意味にしてしまう存在なのか?
残された僅かな時間でアルフォンスがオレに賭けたモノ、投影した存在証明、託した未来。
全てをムダにした張本人が、どんなに謝罪と感謝の言葉を尽くしても、楽になるのはオレだけで、アルフォンスの未来は閉ざされてしまうのに…。

それでも一つの結果がココにある。
自分だけが得てばかりでうしろめたい。

アルに――― 弟に改めて引き合わせたらやっぱり「バカ、バカ」言われた。それはもう他の言葉を知らないんじゃないかってくらいに。
なんか、前にも、こう言うシチュエーションがあったような気がする。 あの時は立場が逆だったのだ。

アルはこちらの世界に来ても、ものおじせずに、かいがいしくもちょこまかと良く動く。
こちらの世界で頼れるのはオレだけのハズなのに、アルフォンスのベットに張り付いてるオレの世話をやかせたくらいだ。
「ごめんな」とオレが謝る度に、「何を今更」と屈託無く笑って返す。
ああ言うのを本当の日なたの仔犬と言うんだなと評したのはアルフォンスで、エドワードさんのは偽モノだったと付け加えられた。

懐かしいものをいとおしむようなアルフォンスの満たされた微笑。

ノーアとアルが連れ立って花瓶の水を変えに言っている間にアルフォンスが言った。

「バカだ、バカだと思ってましたけど、こんなにバカだとは思いませんでしたよ。
 アル君とぼくのどこが似てるって言うんですか」

外に見える木々が緑から黄色、赤へ、茶色へと日々、目まぐるしい勢いで移ろっていくのが目の端にとまる。
いたたまれない。
今はなんとか上体を起こして、枕をクッションがわりにもたれかかってるアルフォンスがため息とともに肩をおとす。

「あんなに、生気に満ち溢れてる子と……   ……ッ!」

我慢の限界、それ以上は言わせない。オレは文字通りアルフォンスの口を塞いだ。

「…………っん  …ん」

しゃべりかけだったアルフォンスの口内に割って入るのはたやすく、
はずみが止まらず少し舌を咬まれたが、話を中断されたアルフォンスの抵抗はこの際無視する。
執拗に奥を攻めて、口どころか、息すらも塞がれそうなアルフォンスが妥協策として応えてくる。
卑怯は重々承知だ。
でも聞きたくない、アルフォンスに言わせたくない。
最後にアルフォンスの下唇を二度啄ばんで、アルフォンスを解放する。

「もう、エドワードさんは」
あきれ顔のアルフォンスを確認してから、するするとアルフォンスの膝もとに頭をさげる。
シーツ越しに顔をうずめるも、消毒液くさくて落ち着かない。アルフォンスの傍なのに。



「なあ、おまえがいなくなった世界でも、オレは認めていかなきゃならないのか」
「そうですよ」

「お前を命を背負っていけって?」
「そうですよ、よろしくおねがいします。」

「重いな……」
「軽く扱われても、困ります。」

「それに、一人じゃないでしょう、 あなたにはアル君がいるじゃないですか」

「お前とアルはちがう。 お前だってそう言った。」

まるで拗ねた子供のようだ。
こんな事言ったって、アルフォンスを困らせるだけだ。
虚勢を張ってでも、オレはもう大丈夫だとアルフォンスを安心させてやるべきなのに。

「半端に納得しちゃって、性質悪いなぁ.....」

そう言いながらも、うつぶせたままのオレの頭をなでるアルフォンスの手はやさしい。
髪を梳くように流れる指先が繰り返し触れる。

「お兄ちゃんでしょう。
 そんなんじゃ、心配で、死んでも、死にきれませんよ」

「だったら、死ななきゃいい」
 額から前髪を横にかき分けてアルフォンスがオレの顔を見ようとするから、いっそう、額をシーツに押し当ててやった。
 くぐもったはずの声をアルフォンスはそれでも聞き取ってくれる。

「死ぬとか言うな ばか」

「また、むちゃを」

ムカつく。
この後に及んでアルフォンスに甘えてる自分に。
いつだってオレを優先してきたアルフォンスのたった一つの我侭をきいてやれない自分に。

何よりオレの為だけに戻ってきたアルフォンスに。
何の為にお前は戻ってきた? アルフォンス・ハイデリヒ

感謝と謝罪。

オレがそれを手放したら、オレを楽にしたら、お前は今度こそ、逝ってしまう気なんだろう。


だから言わない。 






アルフォンスの手を探し当てて握りしめる。


「だって、まだ生きてる。 お前はココにいるんだ!」

「たのむから…… 死んだ後の事なんか ………」

自分でその言葉を発しておきながらゾっとした。

「オレ やっぱりバカだな、先にこの話振ったのオレじゃんか……」

再び、意気消沈するオレをよそに、アルフォンスはクツクツと傷口が痛むのをこらえてでも笑いだしていた。
時々咳が混じってもアルフォンスは前屈みになってこらえた笑いを止める気配がない。

「おい、大丈夫か。」

顔を上げて背中をさすってやろうとしたら、アルフォンスに制止された。
ようやく一息ついたアルフォンスは身体を起こして涙目を人指し指でふきながらオレを見る。

「いやー、 いつの間にか立場が逆転してるのに、今更ながら気がついて。」

ひとつ、深呼吸。
背筋をのばし、毅然とした姿勢で、蒼い瞳で、真っ直ぐにオレを見据えて。

「エドワードさん」

「お、おう」
気圧されて、一瞬たじろぐオレにアルフォンスが掛けた言葉は以外だった。


「ごめんなさい」

「…… ?」


「ぼくは、そんなに世捨て人に見えました?」

「………」


「確かに、割と満足してたんだと思います。
 貴方は帰ってきてしまったけれど、貴方の傍にはアル君がいてくれてるから。」

「でも、 アル君はぼくのかわりじゃないし、 エドワードさんもぼくじゃないですから」

「―――――ぼくは、ぼくです。」


「………」

「ぼくの人生はぼくのモノですから、エドワードさんにはこれぽっちもあげませんよ」



「よろこびも、悲しみも、全部、全部、自分のものですよねぇ」

最後に同意を求めるように、小首をかしげて笑う。

アルフォンスはアルフォンスなりに自分の人生に折り合いをつけて、穏やかに最期の時を迎えようとしていただけだ。
だけど、オレには、それがとてつもなく、もどかしかった。

アルフォンスがアルを瞳に映す度に、憧憬も、羨望も、嫉妬すらも抱かずに安らかに微笑む度に、
全てを赦し、安寧を得、満足し、納得してしまう度に、
まるで昔の自分を見ているようで尚更に。


『エドワードさんとなら、未だ見ぬ宇宙(世界)や 新しい扉(可能性)が開けそうな気がするんです。』


あれは、たかだか小さなロケットの試作品の打ち上げが成功した日の夜の事だ。
天上の月と河原に揺れ写る月とがどちらも大きくて明るかった。
いつになく、希望にみちた、好奇心のかたまりの子供ような、宇宙(そら)とオレと未来に向けられたアルフォンスの笑顔。

あの時とは決定的に違うあの笑顔。


今の状況で、生きる事を諦めるなと、可能性に縋れと言うのがどれ程残酷か、
再び、現実を受け入れてないと言われればそれまでだろうか、
それを伝えて、落ち着いてるアルフォンスを掻き乱して何になる。

オレにそんな事を言う資格がないのも確かだから、言うつもりもなかったのに……



だけど、アルフォンスはオレが言いたかった事の遥か上の解に辿りついたのだ。


「そんな感情を生み出すきっかけが人だったり、歌だったり、自然だったり、人は世界って呼ぶんだと思うんです。

 そうですね、自分のいなくなった世界に対して随分と無責任でした。 反省してます。 すみません。
 自分の事は自分でなんとかするしかないですよね。
 
 でも、これは、かつて、貴方がアル君に対してした事でもあるんですから 
 そこのトコ分かってますか?  エドワードさん」

いたずらっぽく叱咤するようなアルフォンスがオレの顔を覗き込む。

アルの魂を錬成した時、心臓でも命でもくれてやってかまわなかった。
そして、オレはアルの魂を虚ろな鎧に閉じ込め、安らかな眠りもない救いのない身体にした。
二度目は、自分の命が代価と覚悟した。
結果、アルは記憶をなくし、この3年間、埋めようのない喪失の飢餓にあえいだ。
アルが懐かしい世界を振り切ってでも此方にきてしまったのはそう言う事だ。

理不尽な凶行で死の淵に送られた筈のアルフォンスの顔はそれでも満足げに安らかで、死んでいるのかのようだった。
やがて本人の意思に関係なく、昏睡状態から、肉体の本能とオレの望み通りに生の道へと歩きだしたアルフォンスは、
目を醒まさないまま無意識にでもソレを拒絶するかのように時々苦痛にうめいていた。

苦しそうなアルフォンスを見るたびに、血に染まりながらも、蒼白く、達成感に満ちた幸せな顔を思い出す。
これからの苦病を思えば、いっそあのまま逝かせた方が良かったのではないかと思いさえした。
アルフォンスの生を望む事は、いたずらに艱苦を長引かせるだけなのだ。
それだけ分かっていながら、尚、アルフォンスの覚醒を望まずにはいられない自分のエゴに辟易しながら
ただ、ただ、アルフォンスのベットの傍にいても何もできず、ただ在り続けるだけの自分の無力さに絶望していた。

命という未来の可能性に縋がり、傲慢にも譲ったのは相手を想っての事に嘘・偽りなどはなかったのは真実。
だけど、
残される側の空虚と残す側の自己満足なら自分の為に後者を取ったのも事実。

そして気づく、
どれほどにオレがアルを想っての行動だったか、それは同じ行動をとったアルフォンスも同じ事。
どれほどにオレ自身を粗末にするオレに憤り、アルフォンスに助けにならない自分の存在をむなしく思わせていたか。
どれほどにアルフォンスがオレを想っていてくれたか。

想い、想われながら、すれ違うも、ここに辿りつくまで何一つ無駄な道は無かったはずだ。
今までの全てがココに至るまでに必要なもので、オレ達は互いを理解するだけの術を手にいれた。
だが、あまりにも残された時間のなさがいと惜しい。

「ただ、人は今を生きて、泣いて、笑って、死んでいくだけなんです。
 人は愚かでエゴの塊だから、たったそれだけの中で、いや、それだけの中だからこそ、
 掴めるものも、守れるものも限られてて、
 自分の知らない誰かより、結局、自分と関わりを持った人には生きていて欲しいって、
 出来れば幸せで笑っていて欲しいって思ってしまう。
 でも、
 相手を知り、相手の世界を認めて、そうやって樹が枝を張るように広がって相手への想いが繋がっていけば、
 相手の幸せを願うのが叶うなら、争いの火種なんてどこかで立ち消えるのかもしれませんね。
 そして、世界が未来に残るんです。」

祈るように身体の前に組まれていたアルフォンスの手が解かれ、オレに向かってのばされる。
横髪を掻き分け、そっと頬にふれる。
今まで、力を込めて組まれていたであろう指先はしっとりとしていた。
婉然たるさまで、微笑を湛えて、やさしいけれど、意志を込めた声でアルフォンスが願う。

「だからエドワードさんも、笑っててもらえますか?」

アルフォンスもひどく残酷な事を言う。





※  ※  ※


うららかな昼さがり、世間さまでは暢気にそろそろお茶にでもしようかと言う時間。
扉の前で、話をどう切り出したものか考えているうちに、医者に悪態をつきたくなった。
直接、アルフォンスに言えばいいのに、なぜ、オレを介してなのだ?

いやいや、アルフォンスからオレ達に伝える方が気まずいに決まってる。 ……と、思う。

吉報だ。
気休めでなく、希望である。
オレだってアルフォンスの喜ぶ顔が見たい。
オレが何かをしてやれたワケではないのだが、オレから伝える事でアルフォンスを喜ばせる事ができるのだ。
やはり、このポジションを与えてくれた医者に感謝しようと思う。

ここは茶化して、軽く言うのがアルフォンスの為かもしれない。

一呼吸おいてドアノブを回す。
視界に入る、薄いカーテン越しの光、
でも、今は、今まで忌々しくも無神経に白く輝いていたシーツや味気ない白い壁の乱反射すら幸福の増幅装置に見える。
現金なものだ。

「いらっしゃい、エドワードさん」
視線を上げて言う、アルフォンスの手元には本が数冊と膝を覆うような大きさの一枚の紙切れ。
相変わらずロケットの設計図でも見ているのかと思ったら、英国行の路線の確認の為の地図などで、 
それは、怪我が治ったら、まだ身体が動くうちにとアルフォンス自身が望んだ事だ。
 
「起きてて大丈夫か」
大丈夫に決まってる。

「ええ、なんか最近、調子いいですから」
そりゃそうだろう。

いつものように、ベット際の質素な椅子に腰を下ろす。
窓の外に見える木々は枝ばかりになってしまったが、春になりゃ、また萌えるばかりに芽吹くんだろう。

「あ――  、 あのな アルフォンス」
本を脇のサイドボードに片付けながら、アルフォンスがこちらを向く。
くそう、やっぱり言い出しづらい。

「…?」

呼びかけておきながら、話を切り出さないオレをいぶかしみつつも、アルフォンスは口をはさまず待っている。
心なしか、アルフォンスも期待した嬉しそうな顔をしているような気がする。

「えーと、 あー 
 すまん、先に謝っておく。 全部、いろいろ、オレのせいだ!」

本来、謝罪すべき事とは大きく逸れてしまい、随分と軽いモノになってしまったが、アレについてはまた後日、真摯に感謝しようと思う。

「エドワードさん、 謝罪の割りには、顔が笑ってて胡散臭いんですけど…… 
 何か悪巧みでもしてるんですか?」

お前をこんなに疑り深くさせちゃったのもオレのせいなのかなぁ… ホントいろいろ ゴ メ ン ナ サ イ 。

「…悪巧み  悪巧みねぇ?  いや、真面目な話」

ちょいちょいと手招きをして、アルフォンスが顔を寄せてくるのを待ち、耳打ちする。
偏った重心にベットがキシリと軽く沈む。世界の様相の一辺をを示した紙はカサリと落ちる。
話を聞き終えたアルフォンスが、上体を戻して、オレに向き直る。

「………………………本当に?」

問うアルフォンスにオレは無言でうなづいた。
するとアルフォンスは俯いて、肩から力が抜けたように脱力したが、耳は真っ赤だ。

ああ、やっぱり。

「……えーっと …あ...  いくらエドワードさんが嘘つきだからって、こう言う嘘をつかないのも知ってますけど
 にわかには信じられないと言うか…… なんといいますか……」

「…その......ご心配、おかけしました。」

「知ってるのが、オレとアルとノーアだけで良かったなぁ アルフォンス! これも君の秘密主義の賜物だよ。」
言って、項垂れたままのアルフォンスの肩をバシバシ叩く。

「エドワードさんの いぢわる……」
上目遣いに呟くアルフォンスの両頬を出来る限り優しく包んで、上を向かせる。

「よかったな」
オレは今、アルフォンスの望む通りに笑ってやれてるだろうか。
アルフォンスの顔は今だ紅潮してる。だけど空色の瞳は以前の輝きを取り戻して見える。 それがうれしい。




※  ※  ※



退院の日、病室に持ち込んだ荷物はそう多くもなかったのだが、やっぱりオレとアルとノーアの3人でアルフォンスを向かえに行った。
帰り道、アルフォンスが少し疲れたと言うので近くの公園のベンチに腰をおろす。

アルは相変わらずの動物好きで、少し離れたところで鳩を見つけて、さっさと群の輪に混じってしまった。
ポケットからエサを取り出して(なんで常備してるカナ)一気に鳥の群に埋もれたかと思ったら、
鳥達がバサバサと遠慮なく寄ってくるのに流石にたまりかねたのか、パン屑をを弧を描くようにばら撒いて、
今度は鳥の翼と、モスグリーンのコートの裾をヒラヒラとはためかせて戯れている。
季節柄、風もずいぶんと冷たくなってきた。
遠くでノーアの長い髪がなびいている。
こうしてベンチに座ってるよりは、なるほど、かけずりまわってる方が温まりそうだ。

そんなアルの様子を見ながら隣に座るアルフォンスが目を細めて呟いた。

「元気だなぁ」
「オヤジくさいぞ、アルフォンス」
「エドワードさんといるといろいろと体験させて貰えましたからね。経験値つんじゃって、一気に老け込んだ気はしますよ。」
「悪かったって言ってるだろ。 どうせ、オレなんかストレスの原因だよ。」
「心労って言って下さい」
「……やっぱ、オヤジくさい」

「あー もう、どれだけ言葉を尽くしたら、貴方に伝わるのかなぁ」

アルフォンスがベンチの背もたれに腕を回して、天を仰ぎ見る。
わかってるさ、オレがお前の荷物ではなく、中心だって事ぐらい。 自惚れていいんだろう?

体勢をずらして、ベンチに右足の膝をかける。(これはちょっと屈辱)
右手の掌はベンチの背。
瞳に空を映したままのアルフォンスの顎を左手で固定する。
だけど、アルフォンスの視界を遮って、オレしか写さないようにする。

「いいんですか? 弟さんが見てますよ。」

後ろで束ねた髪がサラリと落ちたが気にしない。

視線を合わせて、瞳を重ねて、唇も重ねる。
額をあわせて、互いの熱と存在を確認する。
もう一度、アルフォンスの顔を寄せて、口の端にキスをした。

「お前も大概わかってないさ、 オレが弟とこんな事すると思っての?」

「…えッ……?」
 


「…だからさ、もう、ずっと前からさ……」














「………………………………え、え――――っ!?」


傍目にもわかる程にアルフォンスは顔を赤くした。
肺癌の診断が誤診で、吐血しちゃうくらいは重症だけど、ただの胃潰瘍で、
咳は幼少の頃からの喘息の再発にすぎないと告げた時以上に。
今回はアルフォンスの顔を見てる事ができたので、天地が―――世界がひっくりかえるってのはこう言う事を言うのだなと思った。

“門はこころのうちに”

世界の様相など、些細なきっかけと、自身の受け取りかたでいくらでも変わるのだ。
オレ達はそのきっかけを日々積み重ね、選択した結果が今の世界だ。
自身で作り出した世界を否定すると言う事は自らを否定するという事。
現実を真実に錬成できるかは己次第。



空が高い、雲が流れる。



「ねえ、エドワードさん。 ぼくずっと考えてたんですけど、
 いくらぼくがロケット開発が好きで、夢に力を注いでいたとしても、
 余命幾ばくもないなんて言われなかったら、あそこまで必死にはなれなかったと思うんです。
 ましてや、アレにエドワードさんを乗せて返そうなんてね。」
 
「正直、貴方の諦めたロケットを飛ばす事で可能性を示したいのが第一でしたけど、
 少しでも、あなたの記憶に残ればいいと思ったけど、
 あなたを一人残してしまうくらいなら、あなた言う世界を認めてもいいと思ったんです。」

「だから、医者の誤診はこの状況を作りだすのに、――――今の世界にとって必然だったって」


「そう思ったら」











「やっぱり、世界は捨てたもんじゃないですよ。」




アルフォンスがにこりと笑う。



空が蒼い、陽はめぐる。



まったく、今日も世界はうまく回ってる。



































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